神戸港の開港とともに、外国人が多く移り住んだ神戸の居留地。
ヨーロッパの近代都市計画技術を用いて整備された市街地は、今も旧居留地としてその景観を残しています。
三ノ宮駅から歩いて散策できる位置にあり、数多くの美しい建築物を眺めながら歩いていると、まるで外国にいるようです。
多くのビルが、オフィスのみならず、レストランやショップにも使われているので、カフェでひと休みしたり、店内を眺めたりするのも楽しい歩き方です。
近代洋風建築物と歴史的景観を楽しみながら、巡ってみましょう。
神戸旧居留地はこんなところ
神戸旧居留地の歴史
日本は、1858年に諸外国と修好通商条約を締結し、長年続いた鎖国政策を終わらせました。そして、横浜・長崎・函館・新潟・神戸の5つの港を外国に開きました。神戸外国人居留地の歴史は、この時から始まります。
神戸外国人居留地は、当時の兵庫の市街地から3.5km東に離れた所に建設されました。その理由は、日本人と外国人との紛争を避けるためです。
やがて、居留地の外国人が山手に住居を構えるようになったのが、北野異人館街です。条約の未締結国であった清国から神戸に渡ってきた華僑は、居留地には住むことができず、その西側に南京町といった中華街を築いていきました。
居留地は神戸港の開港とともに、ヨーロッパの近代都市計画技術を用いて整備され、当時、「東洋における居留地として最も良く設計された美しい街である」と評価されました。
その後、居留地が日本に返還されると多くの日本人が入り、ビジネスの中心として発展して行きます。
第二次世界大戦の神戸大空襲、阪神淡路大震災などで建物の多くが被害を受けましたが、新しいビルを建てたり古いものを再建したりして、今なお景観が保たれています。建物はオフィスビルとして使われたり、1階にはブティックやカフェ、レストランが進出したりしていて、神戸観光のひとつとして散策するのに良い場所になっています。
神戸旧居留地の回り方
現在は、三ノ宮駅から徒歩で、神戸の旧居留地を観光しながら散策できます。ぐるっと歩くだけなら30分ぐらいです。
もちろん、途中で写真を撮ったり、オシャレなカフェでひと休みしたり、ショップの中をのぞいたりしながら、ゆっくり歩いてみましょう。
今回は、三ノ宮駅から出発して、ひとまわりしてみます。
神戸旧居留地の見どころ
旧居留地の見どころである、レトロビルを順番にまわってみます。
日本真珠会館は、三ノ宮駅から南に歩いて行った先にあります。
1階に黒御影石、2階以上に乳白色のタイルが使われた建物です。日本真珠会館と神戸ポートタワーは、日本モダニズム建築100選に選ばれました。
中に入ると、こんな真珠が!
日本真珠会館から、真っすぐに整備された道を西に向かって歩いて行くと、神戸市立博物館に到着です。
銀行として建てられましたが、内部は昭和57年に博物館として改修。正面に6本のドリア式半円柱が並び、ほかの側面には壁柱を巡らせた古典主義様式の建築です。
時間があれば、博物館の中の展示も見てみたいです。
神戸市立博物館から道を1本隔てた先が、旧神戸居留地十五番館です。
旧居留地内に唯一残る、居留地時代に建てられたコロニアルスタイルの商館です。屋根は日本のスタイル、南側にはベランダがあります。阪神・淡路大震災で全壊しましたが、耐震構造で復元されました。国の重要文化財に指定されています。
十五番館から海の方向に歩いて行くと、すぐにチャータードビルに到着です。
建物の正面中央に、3本のイオニア式円柱があります。3階と4階は、アチック(屋根階)として簡素なデザインに。庇(ひさし)デザインは東と西で異なり、躍動感を表現しています。
チャータードビルのすぐ隣が神港ビルヂングです。
外壁には花崗岩が貼られ、南東角のアールデコ調の塔屋が海岸通の景観のアクセントになっています。 東側入口には、往年を思わせる木製の回転扉が今も活躍中。
神港ビルヂングから、海沿いの大通を西に向かって行くと、商船三井ビルディングが見えて来ます。
海運業界が栄えた時代に建てられた、アメリカン・ルネサンス様式の建物。外壁は石積みで、優美で華やかな印象を与えています。近年、耐震のため改修されました。
商船三井ビルディングのすぐ隣がシップ神戸海岸ビルです。
旧海岸ビルは鉄筋コンクリート造4階建で、当時ウィーンの新建築運動であったゼツェッションの影響を強く受けています。阪神・淡路大震災後に改築されました。
商船三井ビルディングとシップ神戸海岸ビルの間の道を、北に向かって歩いて行くと、右手にあいおいニッセイ同和損保神戸ビルがあります。
当初から保険会社ビルとして建てられたアメリカンスタイルのビル。1階から3階に届く縦長のアーチ窓はロマネスク調で仕上げられ、美しいプロポーションを見せています。
あいおいニッセイ同和損保神戸ビルの前の通りをそのまま真っすぐ進むと、十字路の角に旧居留地38番館があります。
建物の正面にはイオニア式の4本の円柱があります。建物の両端は、石積みを目立たせたアメリカン・ルネッサンス様式です。
38番館からそのまま北に進むと、右側にニッケビルがあります。
1階は御影石、2階以上は乳白色のタイルが貼られていましたが、現在はタイルの剥離を防ぐためにアルミニウム板で覆われています。
以上、10カ所のビルをまわってみましたが、旧居留地の中には建物の他にも、いくつかの史跡があります。
最後に、そのひとつを紹介します。
1929年に建てられた三菱銀行三宮支店の柱頭部分が残されています。建物の正面玄関にあった獅子のブロンズ像は、神戸ダイヤモンドビルのエントランスホールに移設されています。
以上で、神戸の旧居留地をぐるりとひと巡りしました。
見どころの建物は10ヶ所ありましたが、そのまわりの建物や道路全体の眺めも、まるで海外にいるかのようです。
心残りは、あまり時間がなくて、カフェでゆっくりできなかったこと・・・
神港ビルヂングの中にある、喫茶店8番館でプリンを食べたかった~(涙)
まとめ
神戸港の開港とともに発展した外国人居留地の、レトロな建物を残した神戸旧居留地。そこを散策してみました。どの建物も、当時の近代技術を駆使したもので、今なお重厚な趣を見せています。
大戦や震災で壊滅したものや、復興したもの。
神戸の歴史を感じながら思いを馳せるも良し、外国にいるような気分でオシャレなカフェやショップを巡るも良し。
楽しいお散歩ができました。
コメント